教育支援を受けて学校に通うフィリピンの子供達

フィリピンのイロイロ市でスポンサーの教育支援を受けて学校に通っている10歳から16歳の37人の子供達をNGOのLOOBを通して訪問させてもらった。

 

今回の訪問の目的は教育の支援をしているスポンサーに子供達が感謝状を書くというもの。主なスケジュールは子供達との距離を縮める為のアイスブレイカ、手紙のチェック、生徒へのインタビューの順だ。

 

土曜日で学校が休みだったのにも関わらず子供たちは笑顔で迎えてくれた。向こうから寄ってくる子もいれば、話しかけると恥ずかしくて隠れてしまう子もいて十人十色、そして何よりものびのびとしている。

 

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我々の自己紹介を短い時間で終え、アイスブレイカーでゲームを始めると一気に盛り上がった。ゲームの内容は2チームに分かれ、出されたお題をチームごと制限時間内に体で表現し、時間になったら静止してその時の完成度の高さを競うというものだ

 

日本人にとって人前で表現することに苦手意識がある人は少なくない、けど彼らはお題が出されると同時に各々が自由な発想で表現していた。中でも驚いたのが「動物園」のお題が出された時だ。普通、動物園と言われたら真っ先に思いつくのはゾウやサルなどの動物を想像することだろう。だが子供達の数人は動物園のチケット売り場を来客者、チケット販売員、ゲートを体で再現していた。小中学校の先生が「子供の発想には毎日驚かされる」と耳にする事があるが当にこのことだろう。

 

そして数ゲームを終えチームの勝敗が決まった。主催側からすると勝ち負けのあるゲームはあまり好ましくない。なぜなら勝ちを誇示したり、いじけるかもしれないからだ。しかし予想とは違った反応だった。子供たちは勝敗の結果を聞くとすぐに勝ったチーム、負けたチームどちらもただ純粋にゲームを楽しんだことに笑顔で拍手し、ワイワイしながら自分たちの席へと戻っていった。

 

和んだ状態で今回の一番の目的の感謝状の作成に移った。その名の通り教育の支援をしているスポンサーに感謝の言葉を送ると言うもの。彼らは前もって手紙を書くことを知らされていたので、下書き用の用紙をもらうとすぐにペンを手にとり書き始めた。サラサラっとあっという間に終えるもの、書き出しで考え込むものと子供を補助する側に立って手紙一つを書くにもこんなにも色々な書き方があることを改めて知った。

 

下書きを終えた子はスタッフと一緒に手紙のチェックに入る。私のチェックの仕方はこうだ。明らかに意味が通らなかったり、何度も同じ文法のミスがあったら指摘するが、少しの違和感のある表現は変えたりはしない。感謝状のような気持ちの入った手紙を他者が何度も介入してしまうのは手紙を受け取る側に対して失礼だと思うからだ。そして下書きを終えた子から実際に手紙に書いていく。色鉛筆で模様や絵を描いて見栄えを良くし、それぞれの個性を表現していた。

 

手紙を読んでいて気づいたことがある。彼らは学校に通えることを心から喜んでいるのだ。イロイロ市に滞在してまだ日が浅いが学んだ事がある。十分な学歴を持っていないと高い収入を得ることはなかなか難しく、ウェイストピッカー(waste picker)のようにゴミを拾って売買し、生活をするのは珍しくない。それと家族に恩返しをしようとする前向きな姿勢が学校に行くことに対してプラスに作用している点が大きいのだろう。

 

 

今度は手紙を先に終えた子達にインタビューして

いく。次の4つが主な内容だ

 

・基本情報

・家族構成

 ・好きな科目と理由

 ・将来の夢

 

家族構成を聞くと次から次へと家族が出てくる。親の収入に関係なく、貧しくても大抵の家庭は少なくとも子供が4人はいる。少子化が進んでいる日本では考えられない状況だ。

 

そしてインタビューを通して、女の子の間である科目と職種に人気があった。それは英語とフライトアテンダントだ。日本でも女性の憧れる職業に間違いないだろう。優雅な振る舞いと明るい笑顔で世界各国に飛び立つ夢の仕事だ。彼女らに理由を聞くと英語力を伸ばしてフライトアテンダントになり、自分の乗っている飛行機で家族を海外に連れて行きたいのだ。ちなみに一般のフィリピン人の世帯収入で海外旅行できる人は稀だ。家族に楽をさせたい、そんな気持ちが伝わってきたインタビューだった。

 

日本で義務教育を受けてきた私にとって学校に通うことは強制であって、勉強することに意味を見出せていなかった。だが彼らは家族のため、しっかりと自分の意思を持って楽しく学校生活を送っていた。

 

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